冷凍仕様(3)
機械を設計するときにどんなことを注意すればよいかというと
①摺動するところには、油の問題
②樹脂やゴムには、耐寒性の問題
③熱処理をした材料には、性能劣化の問題
④接着している面については、接着性の問題
⑤センサーなどの電子機器には、機能低下の問題
⑥材料自身には。機能劣化の問題
⑦エアーを使っている場合の結露の問題
などがあります。
②樹脂やゴムには、耐寒性の問題
・樹脂やゴムは低温環境では硬化して脆くなります。
樹脂
コンベヤベルトは(3) 樹脂について
材料によって使用できる温度が変わります。
PE(ポリエチレン)…UHMW
・ 耐寒性に優れている -80℃~-60℃
PP(ポリプロピレン)
・ 低温環境での使用は -15℃~-10℃
MC(ポリアミドナイロン)
低温環境での使用は MCの製品別に -40℃~-10℃ と使用範囲が広いため、MCで部品を作る時には 温度の指定が必要となる。
PC(ポリカーボネード)
・ 使用可温度 -100℃~+120℃
その他の樹脂については、メーカーの問い合わせを行って使用してください。
低温対応というだけでなく、材料自身の特性を確認して、使用する必要があります。
Oリング・オイルシール
材料の使用温度がわかりやすいので、下記の票を参考にしてください
(日本シール精工HPより抜粋)
Oリングに適した材料は、ご使用温度や他の条件で復元性(圧縮永久ひずみ)の優れたゴム材料が最も望ましいです。
下記の表を参考の上、使用条件に適合したゴム材料を選定してください
JIS記号 材質名 |
ゴムの種類(JIS略語) 特徴 |
使用温度範囲 (目安) |
JIS B2401 1種A *NBR-70-1 |
二トリルゴム(NBR) 最も一般的な材料で優れた耐油性と耐磨耗性を有し、また安定した耐熱性をもつ材料です。 |
100℃ ~ -30℃ |
JIS B2401 1種B *NBR-90 |
二トリルゴム(NBR) 1種Aとほぼ同等な特性を有し、1種Aよりも硬く耐圧性に優れた材料です。(Hs90) |
100℃ ~ -25℃ |
JIS B2401 2種 *NBR-70-2 |
二トリルゴム(NBR) 灯油、軽油等の燃料油に優れた耐油性を有する一般燃料用の材料です。 |
80℃ ~ -25℃ |
JIS B2401-1 *EPDM-70 |
エチレン・プロピレンゴム(EPDM) エチレングリコール、ブレーキ油等の植物性作動油に優れた特性を有する材料です。 |
120℃ ~ -45℃ |
JIS B2401-1 *EPDM-90 |
エチレン・プロピレンゴム(EPDM) EPDM-70とほぼ同等な特性で、耐圧性に優れた材料です。(Hs90) |
120℃ ~ -45℃ |
JIS B2401 4種C | シリコーンゴム(VMQ) 優れた耐熱性、耐寒性を有し、広い温度範囲で優れた圧縮復元性を有する材料です。 |
200℃ ~ -50℃ |
JIS B2401 4種D *FKM-70 |
フッ素ゴム(FKM) 最も優れた耐油性、耐熱性を有し、広範囲に使用できる材料です。 ケトン・エステル・アルカリ・アミンには弱い。 |
220℃ ~ -15℃ |
JIS B2401-1 *FKM-90 |
フッ素ゴム(FKM) 4種D(FKM-70)とほぼ同等な特性で、耐圧性に優れた材料です。(Hs90) |
220℃ ~ -15℃ |
アクリル70 | アクリルゴム(ACM) ニトリルゴムより耐熱性、耐油性を有し、特に高温の潤滑油に耐える材料です。 |
150℃ ~ -15℃ |
JIS B2401-1 *HNBR-70 |
水素化NBR(HNBR) 優れた耐油性と耐摩耗性を有し、NBRの弱点である耐オゾン性・耐候性を改善。 |
150℃ ~ -25℃ |
JIS B2401-1 *HNBR-90 |
水素化NBR(HNBR) HNBR-70とほぼ同等な特性で、耐圧性に優れた材料です。(Hs90) |
150℃ ~ -25℃ |
CR-70° | クロロプレンゴム(CR) 耐候性、耐油性にバランスのとれた特性を持った材料です。 |
80℃ ~ -45℃ |
樹脂系の材料で注意するものに、ベルトがあります。
塩ビ系樹脂ベルト、ウレタン系樹脂ベルト、ゴムベルト、などがあります。
コンベヤベルトを低温で使用する場合には、駆動用のプーリー系を大きくして、摩擦面積を大きくする必要があります。
また、-25℃の環境で使用する場合に、ベルトをしばらく動かさないで置くと、ベルトが変形することがあります。始動のもうたー容量が大きくなったり、プーリーとのスリップを起こしたりしますの、使用環境や、運転時間にも注意を払うことが必要となります。
ベルトの使用温度は、メーカーにより変わります。
下記に、HABASIT のカタログによる大まかな使用温度を転載します。
参考
材質により下記の傾向が見られます。(HABASITのカタログより)
ゴムベルト 使用範囲温度 0℃以上
塩ビ系ベルト 使用範囲温度 -10℃以上
ウレタン系ベルト 使用範囲温度 -20℃以上
樹脂はいろいろな種類のものがありますが、通常の仕様法プラス低温時の性能限度の把握が必要です。